看護の概況
看護部は看護部長をはじめとして副看護部長、看護師長、副看護師長、看護職員(看護師、療養介助専門員、看護助手)で構成される総勢200名ほどのチ-ムです。看護師の平均年齢は32歳ですが幅広い年代層のスタッフが揃っており、あたたかい人柄で、家庭的な雰囲気の中で仕事ができます。
看護の対象者は、小児から成人までの成育医療・障がい者の方への医療であるため、看護理念は「人にやさしい、ぬくもりのある看護」とし、子どもや障がい者に優しい、心が通い合う看護を目指しています。
現任教育は看護倫理を基盤に、看護職員が個々のキャリアを発揮し、主体的に看護に取り組めるように教育プログラムを考え、三重病院の看護職員としてより専門性を高め、安全・安心な看護実践ができるように支援していきます。
専門領域看護
専門看護師
専門看護師とは、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた看護師です。
- 小児看護専門看護師
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小児看護専門看護師として、子どもたちの健やかな成長・発達に向けて療養生活を支援し、医療・福祉スタッフが連携して質の高いケアを行うことを目指しています。当院は三重こどもメディカルコンプレックスの一翼を担っており、感染症やアレルギー疾患、代謝性疾患、神経疾患などの慢性疾患をもつ子どもが多く受診しています。病気をもつ子どもとその家族が安心して地域で生活していくために、多職種が連携して支援していけるよう調整を行っていきたいと考えています。
また、小児看護に携わる職員がより専門性を発揮したケアが実践できるよう、院内外での教育や看護研究支援も行っています。
認定看護師
認定看護師とは、患者・家族によりよい看護を提供できるよう、認定看護分野ごとの専門性を発揮しながら認定看護師の3つの役割「実践・指導・相談」を果たして看護の質の向上に努めています。
- 糖尿病認定看護師
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糖尿病看護認定看護師は、糖尿病患者さんやご家族がそれぞれの生活にあった血糖管理をサポートするために、血糖パターンマネジメント技術、フットケア技術、糖尿病ケアシステム立案技術など専門的な知識と技術を用いてサポートしています。また、糖尿病看護の質の向上のために院内外で研修を実施しています。
- 感染管理認定看護師
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安心で安全な医療を提供するために、「患者さん、その家族、病院職員、学生など当院に関わるすべての人々を医療関連感染から守るため、また、施設における感染管理の向上」に尽力します。
具体的な活動内容は、病院内の各部門からの相談事項への対応・職員の感染症に関する教育などです。加えて、院内の各部門のみならず地域の医療機関とも積極的に連携を取りながら感染制御に関する適切な情報提供を行う役割も果たしています。
特定行為研修修了看護師
特定看護師とは、厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度」による所定の研修を修了し、医師と共に予め作成した手順書に基づく特定行為(21区分38行為)が行える看護師のことです。
当院では、5区分5行為を修了した看護師が在籍しています。活動として、創傷・ろう孔の管理に関連する特定行為を実施していくために、皮膚科医師の回診介助を実施しています。特定看護師であれば、患者の状態を見極め、手順書により、タイムリーな対応ができ、看護のみならず質の高い医療が提供できることが可能です。専門的な知識と技術の習得、チーム医療のリーダーの役割が発揮できるように取り組んでいます。
小児アレルギーエデュケーター(PAE:Pediatric Allergy Educator)
PAEは小児のアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、気管支喘息、食物アレルギーなど)の高度な知識と指導技術を備えたエキスパートです。現在、5名の看護師が活動しています。
アレルギー疾患の治療は、内服薬や吸入薬、軟膏などの処方のみでは症状のコントロールが難しいため、正しい知識とそれを実践に移すための援助が必要です。その援助を私たちPAEが行います。スキンケアや吸入、エピペンの具体的な方法を患者さまや指導する側のスタッフへ指導し、医師・薬剤師・管理栄養士と連携して患者さまが楽しく生活できるようにサポートします。アレルギーでお困りのことがあれば、ぜひお声がけ下さい。
糖尿病療養指導士
当院には、糖尿病療養指導士の資格を有する複数の看護師がいます。医師の指導のもと外来・入院を通して、幅広い年齢の糖尿病患者様の支援を行っています。
小児病棟では、糖尿病の知識を始め、血糖測定やインスリン注射などの指導、地元の学校や保育園に戻るにあたり、支援者に向けた情報提供をし、退院後を見据えた関わりをしています。内科病棟では、成人から高齢者までの教育入院を行っています。また糖尿病療養指導士を中心に外来看護師と連携をして入院中の情報共有を行い、今後の支援に活かしています。院外活動としては、健康フェスタ、学童期の糖尿病患者様が対象のサマーキャンプといった、楽しみながら学べるイベントも開催しています。
難病看護師
当院には難病学会認定難病看護師が4名在籍しています。求められる役割として、患者様の質の高い療養生活を目指し、療養生活の支援と相談・助言を行うこと、看護職員、関係職種の職員への指導・サポートが挙げられます。当院は以前から筋・神経領域の難病拠点病院として専門性の高い看護を提供してきた経験があり、難病看護師の立場から、スタッフの育成を計画・運営することで、更なる看護の向上を目指して取り組みを行っています。また、自らが率先して資格を保有しモチベーション高く得られた知識を伝達していくことで、ともに働くスタッフのモデルとなり、チームとして高い意識をもって楽しく看護ができるように今後も取り組んでいきたいと思います。
看護単位の紹介
- 1病棟
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主に小児整形外科疾患の手術やリハビリテーションを行っており、さらには近隣病院からの術後リハビリテーション患者を受け入れている病棟です。
その他口腔外科や耳鼻科の手術を受ける成人の患者も受け入れています。
日常生活援助、機能回復への支援を医師・理学療法士・作業療法士・言語療法士・メディカルソーシャルワーカーと連携し行っています。
長期治療が必要な子ども達は、隣接する特別支援学校に通いながら治療を続けています。
患者の機能に合わせた入浴施設が整備されており、退院後の生活に向けたリハビリの一環となっています。
- 2病棟
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感染症・川崎病・けいれん・腸重積などの患者を24時間体制で受け入れています。また、肥満・糖尿病・アレルギー疾患・心身症・不登校などの長期治療が必要な子どもたちは、隣接する特別支援学校に通いながら治療を受けています。医師・看護師・児童指導員・保育士・心理療法士・栄養士・メディカルソーシャルワーカーがチームとなり、子どもたちの自己管理能力を高めていけるような治療・看護・支援を検討し提供しています。その中で看護師は、医療・教育・福祉のパイプ役として活動しています。
- 南3病棟
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当病棟は、県の難病指定病院として、三重県全域(近隣県を含む)を対象とした神経難病・神経筋疾患を主とした医療依存度の高い長期療養患者の入院を受け入れています。また、在宅療養者、施設入所者の短期入院(レスパイト入院)も受け入れています。難治性疾患患者の残存機能を活かしQOLを高められるように、医師、看護師、療養介助員、リハビリ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、メディカルソーシャルワーカーがチーム医療で入院生活をサポートしています。看護師、療養介助員が連携し、患者、家族の意向を尊重し、清潔ケアの充実、レクリエーション活動、音楽療法なども取り入れ、季節感や気分転換が図れるように関わっています。
- 北3病棟
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糖尿病、肥満症、呼吸器疾患などの患者を受け入れている病棟です。糖尿病の血糖コントロールや合併症の治療、肥満の減量指導、重症呼吸不全患者の呼吸管理ケアや呼吸リハビリを行っています。また、急性期病院から、脳血管障害や肺炎等の回復期患者の転院を受け入れています。入院時から、退院や今後の目標を視野に入れた関わりが出来るように、医師、看護師、退院調整部門、リハビリ科などの多職種連携した支援を行っています。長期臥床されている高齢患者も多く、スタッフ一丸となって丁寧なケアを心がけています。
- 5病棟
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重度の運動障害と知的障害を合併した小児及び成人の方が入院されています。医療・看護・療育・介護・学校教育・リハビリテーションなど、チームが一体となってQOLの向上を図るとともに潜在する能力への働きかけを行っていきます。年間を通して様々な行事を計画し、日常生活に楽しみと変化を持たせるよう努力しています。
- 外来
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15の診療科があります。幅広い年齢層の患者様が安全に受診でき、ぬくもりのある看護を提供できるよう外来スタッフ一同が心がけています。
三重病院では専門外来をおこなっています。
- 予防接種外来では、定期接種や海外渡航者のための予防接種や相談に応じ、予防接種担当医師と協力して安全に接種できるよう努めています。
- 小児アレルギー専門外来では、食物アレルギー・アトピー性皮膚炎・気管支喘息など幅広い分野で診療を行っており、検査や処置が安全に行われるように努めています。
- 糖尿病専門外来では、小児から成人まで、一貫した診療と看護を行いセルフケアの確立に力を入れています。
- 手術室・中央材料室
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小児外科・整形外科・耳鼻咽喉科・歯科口腔外科の手術を行っています。年齢は主に0歳~15歳までの小児が8割を占めていますが、高齢者の方まで対象にしています。
安全・安楽に患者様が手術を受けられるよう各科医師、麻酔科医師との連携を図りながら、術前・術後訪問を強化し周術期看護の充実を図っています。また、ご家族の同伴入室を取り入れ好きな音楽やおもちゃを準備し、手術室内を季節の飾りつけを行うなど、手術への不安軽減に努めています。
中央材料室では各部署の業務が円滑に機能するよう、滅菌業務・医療消耗品の確実な提供に努めています。
看護部職員教育
三重病院看護部教育理念・教育目標、三重病院看護部キャリアラダー
看護部では、国立病院機構Actyナースをもとに、三重病院キャリアラダープログラムを、自分の目指す看護を考えながら一歩一歩なりたい自分、なりたい看護師を目指せるよう教育を行っています。新人看護師一人一人に、チューター、教育担当者といった2名の指導者、実務経験2年目以上についてもキャリアラダー教育を受講している看護師には、担当の指導者が配置され、安心して学ぶことができます。
また、経験者の方も、他施設でのキャリアをいかしながら当院で教育を継続していくことができます。
学生受け入れ状況
看護部では看護師・療養介助員・養護教諭を目指す学生実習を受け入れています。看護系大学3校、看護学校3校、短大・大学2校などから年間延べ2,500名の学生が、三重病院で学んでいます。そして、その中から三重病院で働きたいと、就職してくださる方が増えています。